第1章 1.悲しみの海
「…お前が悪いんだ」
「木吉くん!!!!」
「大きい声だすなよ。ちはる
病院だぞ、ここ」
彼はいつもと変わらない笑顔をみせた。
ただ、足は痛々しかった。
「どうして…。木吉くんは悪くないでしょ…
ただバスケが好きなだけなのに…
それだけなのに…」
私が泣いちゃダメだ。
本当に辛くて悲しいのは木吉くんだ。
止まれ…止まれ!!
「そんな顔するなよ。ちはる…
お前が泣くほうが俺は辛いよ。」
「ごめっ…ごめんね、木吉くん…
…ひっく…うぅ…」
涙は止まらなかったが
それでも木吉くんのため笑顔でいた。
「リハビリすれば来年またみんなと
やれるんだ。
そのときに俺が足引っ張らないように
頑張らないとな。」
まだ希望はあるんだ。
私は安堵した。また木吉くんのプレーが
見れるんだ。泣いてばかりじゃだめだ。
自分の頬をパシッと叩いた
「…よし!そっか!頑張ろう!
私も木吉くんのために出来ることする!」
「ありがとう。助かるよ。」
「ううん。彼女なんだもん。役に立ちたい」