第3章 ベンハー×ベンハー鑑賞会
ヒュォォォオ……
潮風が吹く断崖絶壁の上で、オレはたたずんでいた。
目の前には一人の男。
「やっと、見つけたぜ………ケイト!」
その男…ケイトはもずくの髪を振り乱し、こちらを向く。
「…10年ぶりだな、ベン。見間違えたぞ」
「フン、あんたこそ。そのもずくのヌメヌメ感が全く衰えてないようで安心したよ」
「ははは、面白いことを言ってくれる。昔オレのもずくにつまづいてこの崖から落ちそうになった奴とは到底思えん」
「…昔とは違う」
オレの周りに大量のもずくのオーラ(通称ヌーラ)が現れる。
「(すごい量のヌーラだ…)立派なもずく使いになったのだな。オレをどうする気だ?」
それはもちろん、
「…越えるのさ、もずくの力で!!」
「……フッ、来いっ!!!」
ベチャッ!!ベチッ!!
お互いのもずくがぶつかり合う。
さすがケイトのもずく……!!威力が違うぜ!
「…何見てんだよ、お前ら」
キルアは入ってきた部屋の壁にもたれかかっていた。
「あ!キルア!」
「キルアも観てみなよ、ベンハー×ベンハーまだ始まったばっかだから!」
「あー、前言ってたやつかよ。寝る」
「寝ないで寝ないで!!ゴンも見てくれてるのに!!」
「ぐえっ!!く、首しめんな!!」
そう、私はゴンを誘って今ハマっているアニメ、ベンハー×ベンハーを観ていたのだ。
この面白さをキルアにも伝えたい!
だから私は無理矢理キルアを隣に座らせた。