• テキストサイズ

青春メモリアル【短編集】

第12章 止まない雨@高尾和成




ツー……窓ガラスを指でなぞると、透明な道が出来た。他の窓でも同じ現象が起こったので、どうやら結露しているようだった。

日直日誌を提出して職員室を後にした高尾は、空気が冷たく潤っている事に気がついた。

こんな時の学校は、どこか独特の雰囲気を纏っている。
…つまり、今がどんな状況か、外を見なくても理解させられるという事だ。


「うっわ、マジかよ…」

ザーザーという音。…外は土砂降りだった。飽きもせず降り続ける雨を見て、高尾はため息を漏らした。
今日は珍しく晴れると聞いていたので、傘を持って来なかったのだ。これでは雨に濡れてしまう。

壁に掛かった時計に目を遣ると、さっき見た所から結構時間が経っていた。
彼の相棒である緑間は、高尾を置いて先に帰ってしまった。おまけに今はテスト期間なので、どの部活も基本的に休みだった。

つまり、今残っているのは高尾くらいのもので、傘を借りられる人物は残っていない。


「…走るっきゃないな」


/ 145ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp