第8章 ドライヤー@赤葦京治
木「なぁ、烏野のマネちゃん、何て名前なんだ?」
日「え、清水さんですか?清水潔子さんですけど…」
黒「おお、名が体を表している…」
月「そのセリフ、どっかで聞いた様な気がしますネ…」
第3体育館から食堂へ向かう途中、木兎が始めたマネージャーの話を、赤葦は静かに聞いていた。
黒「でもさ、梟谷のマネもレベル高いじゃん。特に…あの可愛い子」
木「可愛い子いっぱいいてわかんなーい!」
黒「ほら、あのピンクのTシャツでさ…」
木「うーん…赤葦、誰だっけ?」
「…桐谷さんじゃないですか?」
木「あ、そーだ!桐谷美心ちゃん!」
黒「へぇ、桐谷美心…ね。彼氏いるか知ってるか?」
木「あー、そう言えば……美心ちゃんは止めといた方がいいぞー!ちょっとガッカリするから」
黒「何でだ?」
その場にいた全員が息を呑む。
木「それはな…美心ちゃんには好きな人がいるからだ!」
黒「はぁ?んなの関係ねえだろ」
木「それがさあ、バレバレなんだよ。なんつーか…好きな人いますってオーラ全開な所とかさ。見てるとさ、自分の気持ち関係なく応援したくなるんだよなー」
黒「それは木兎がお人好しなだけだろ〜?」
好きな人…。
目を閉じれば、すぐに浮かぶ彼女の笑顔。
その笑顔を独り占めしたい、と何度思ったことか。
赤葦は目を開け、フゥ、と息をついた。
——気づけば、食堂は目の前だった。
日「うーん、飯ー!!!」
日向が猛スピードで食堂へ突っ込んだ。
その背を目で追い、赤葦はまたため息をついた。