第7章 忘年の夜@国見英
「俺と美心は、結婚する事になってる」
……
「……ハアアアアア!!??」
美心は思わず起き上がった。当の国見は、「やっぱり知らなかったんだね」と言う始末。
何言ってんの英!塩キャラメルで頭可笑しくなったか⁉︎
国見はそんな美心に、互いの両親の昔話を簡略化して話した。
なんでも国見と美心の両親は大学時代からの友人で、とても仲が良かったらしい。そして女子2人が偶然同時期に妊娠し、そしてお腹の子が偶然異性同士だった為、将来結婚させたいねーなんて話に成ったのだとか。
「…随分適当だね、お母さん達…」
「美心が嫌なら、婚約解消だけど」
「そもそもした覚えがない」
美心はそう言い、ぎゅっと国見に抱きついた。
「俺、全然嫌じゃないけど」
「…私だって」
少し躊躇いつつも、美心は国見の白い頬に優しくキスをした。
国見は頬を赤らめ、美心から顔を逸らした。美心も恥ずかしくなり、そっぽを向く。
「私だって、…すき」
「…結婚、しよう?」
「…うん」
“すき”
たった2文字に込められた想い。
忘年の夜、それは互いの胸に言葉として届く。
「じゃあ、その…来年もよろしく」
「こちらこそ…よろしく」
——階下のどんちゃん騒ぎも、終わりに近づいていた。
fin