第7章 忘年の夜@国見英
“忘年会”
年が明ける前に、その年にあった苦労を忘れる会。…なのだが、実の所、大人が酒を飲む為の場と化しているのではないか。
未成年である美心は、その忘年会の席でオレンジジュースを飲みながら、そう感じていた。
——12月31日、午後10時過ぎ。紅白歌合戦をテレビで流しながらワイワイ騒ぐと大人達の輪から外れ、美心はスマホを弄っている。
親戚の集まりは毎年30日だったのだが、今年は何だか色々あるらしく、忘年会は今日になったらしい。
…美心はそういう認識でいたので、このどんちゃん騒ぎがどんなに重要な席であるかを知らなかった。
両親が『その事』をまだ話していなかったのだから、当然の事なのだが。