第15章 いつもの日に愛をひと粒@縁下力
縁下は名前を呼んで、名残惜しそうに美心から離れた。
「…好き」
「…愛は真心、恋は下心。
ちからはどっち?」
哲学少女は頬を染め、恥ずかしさから目を逸らした。
縁下はフッと頬を染め緩め、内緒話をするように彼女の耳許で答えを囁いた。
「…どっちも」
「…私も」
くすぐったそうに笑い、美心はそう告げた。
毎日同じ時を過ごす2人。
その感情は、恋か愛か……。
「唇へのキスは“愛情”……『貴方を愛してる』という意味…ですね」
「…事実」
小さな声で紡がれた愛の言葉は、美心を照れさせるのには充分だった。
——さあ、今日も貴方に、幸せをひと粒。
fin