第1章 交換条件
先生は俺の初恋だ。
きっと先生のこといいなって思ってるのは
俺だけじゃないだろうけど。
現に俺の兄弟は先生に会いたくて
わざと怪我してみたり。仮病つかったり。
俺もそんな感じ。
けど、俺の気持ちは いいな とかじゃなくて、本気で一生守ってやりたい。誰にも譲りたくない。それくらい俺は先生に恋してた。
「せーんせい!遊びにきたよー」
いつもの調子で保険室の扉を開ける。先生目当てで保健室に遊びに行くのは俺の日課だ。
「!…ま、松野くんっ!」
俺の目に飛び込んできたのは、先生を壁に追いやって手首を掴んで動けないようにしている生物教師の松田とひどく動揺している先生。
「保健室に用事がないなら帰れ松野。」
「あれ、お取り込み中?失礼しま…」
「待って!違うの!…この前借りた本返したいと思ってたところだから、少し待ってもらえるかな…?」
本なんて貸した覚えないし、先生なんか怯えてる…。たぶんこの男が原因。とりあえず話合わせとこう。
「そーそー、その本カラ松が読みたいとか言い出してさ、丁度その本取りに来たとこ。」
「…チッ」
教室を出た松田の足音が遠ざかるのを確認してから先生に確認した。
「…俺、本なんか貸してないよね?」
「あれ?そうだっけ…、ごめんね…!」
「どうしたの?あいつになんかされたわけ?」
「べつになにも「これ何?」
先生の言葉をさえぎって机に置かれた封筒の中身を出した。先生の大量の写真だ。どれも隠れて撮ったような…そんな写真。
「!!」
「なにがあったのか教えてよ、先生。」
「こ、これ!何だろうね!」
先生は明らかな作り笑いをしながら俺の手から封筒を奪い取り胸の位置で握りしめた。
『ぎゅっ』
俺はそんな先生を後ろから抱き締めた。
「ま、松野くん…?」
「ねえ、何が先生をあんなに怯えさせてたの?」
「…離してよ、松野くん」
俺の質問に答えてくれない先生を更に強く抱きしめた。
「松野くん…。」