【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第5章 2次試験・前編
「おう、そうだ。
嬉しいぜ、覚えててくれたんだな」
得意気に鼻の下を人差し指で擦る。
「薬を盛った飲み物を渡して来るような人間を忘れる人は居るのでしょうか」
「うっ…」
「ぐぅ…」
リアの言葉に2人は声を詰まらせた。
「詰めが甘いのですよ。
あれでは何か盛っているのは誰だって分かります」
「まぁ、確かにね」
「い、いやー…ハハ」
渇いた笑いを浮かべながらそーっと遠ざかる。
「あの人は精神的な揺さぶりをかけることが目的だったのでしょうね」
「へー、凄いね。
たったあれだけでそこまで分かるんだ」
あ、しまった…。
思ったことを言い過ぎた。
「記憶力だけが取り柄なので…」
なんとも苦しい言い訳だ。