【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第28章 内緒の涙
「…ありがとうございます、シャル」
人気のない路地を、腕を引かれながら歩く。
「なんで黙ってキスされてるの?
リアは抵抗とかしないの?」
両手首を掴まれ、ダンッと路地の壁に押し付けられた。
「え…?」
眉間にシワを寄せ、重たいオーラを纏っているシャル。
「…しましたよ、抵抗」
したけど…そんなものは無意味に等しかった。
「そもそもあいつ誰なの?」
「…」
言いたくない。
「あいつがリアの言ってた好きな人?」
「!違います」
「だって名前で呼んでたじゃん、あいつもリアも。
俺に居られちゃ困るみたいだったし。
向こうもリアに好意あるようだったしね」
そんな誤解されたくない。
「リアは男の悦ばせ方も知ってるよね。
それってあいつから教わったんじゃないの?」
「っ…」
そんな風に…思われてたんだ…。
それがどうしようもなく悲しくて、首がと顔を下げた。