【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第25章 鬼ごっこ
子供相手に円を使うのも気が引けるし。
どうやって探そう。
「ふーっ…」
身体を残った空気を全て吐き出し、感覚を研ぎ澄ませる。
カサッと極わずかだが、土を踏む音が前方から聞こえた。
注意していても聞き逃してしまいそうな程恐ろしく小さな音。
その音と、あとは勘だけを頼りに歩みを進める。
音を立てまいと神経を擦り減らし、背中に汗が伝う。
「ッ!」
背後から歩みより、あとほんの少しで触れるというところで躱された。
「あっぶねー…。
ギリギリまで気づかったぜ」
「俊敏ですね、反応」
「訓練されてるからな、そういう風に。
あ、そうだ」
何か思いついたような顔をしたあと、在り方を変えた。
歩き方に緩急がつき、キルアさんの残像が私を取り囲む。