【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第21章 地獄
暴走から一夜明けた今日。
シズクの部屋のベッドで眠るリアはうなされていた。
額には薄っすらと汗を掻き、眉間にシワを刻み、時折苦しそうな息を漏らす。
深く暗い、光の届かないまるで海底のような場所。
そこにリアはただ1人、呆然と立っているような感覚に陥った。
波は大荒れ、肌に触れるものは冷たく痛い。
目の前がグラリと大きく歪んだ。
それは収まることを知らず、次から次へと波のように押し寄せ、リアの身体の自由を奪って行く。
鎖に巻かれたかのように身動きは出来なくなり、身体は自分の意思と反してどんどん沈んで行く。
やがて呼吸すらも苦しくなり始めた。
「うっ…ッ…」
冷たい言葉の波が押し寄せる。
誰にも心を開くな、と。
皆お前を怖がるのだ、とも。
冷たい波は次の瞬間、鋭い刃として私を襲う。
いくつもの刃が私の身体を貫いた。
不思議と痛みはない。
だがこれが…いつも私を絶望の底へと引きずり込むのだ。