第8章 去れど一難
ローと名乗った人を見て。
みんな帽子を被っているからこの一味の名前は帽子海賊団だろうか、なんて考えてたり。
シ)「あれっ?
船長の名前聞いてもっと驚いてくれるかと思ったのに……」
ぺ)「ああ、確かに」
この人は、有名なのかな。
海賊なんて、エースさんと白ひげ海賊団と、ゴール・D・ロジャー……エースさんのお父さんくらいしか知らない。(あと一応、お父さんの赤髪海賊団も)
…まあ、そんなことはどうでもいい。
貴)「…で、目的はなんですか?」
賞金狩りでも海軍でもない、海賊。
じゃあ目的は?理由は?
なんのために、なんの利益を求めて。
それとも何か、この海賊に恨まれるような事でもしたのだろうか。
色々な考えが頭を埋め尽くしているとローという人は口を開いた。
ロ)「お前の能力をもらうためだ。」
突発な発言で、思考を巡らせていた私は何も答えられないでいる。
この船の船長の後ろについている2人は様子を伺う様に私を見つめ、
当の船長はまっすぐ私を見つめる。
きっとここで私が
“いやです”
とこたえたら、エースさん達の所に返してもらえないとか、酷い拷問をされるとか、
殺されるとか。
安易に想像できる。
でも、
貴)「無理です」
当たり前。
まず理由がわからないってこともあるけど、それ以前の問題がある。
私の能力なんて、問題点がありまくりの、
そんなもの。そんな程度。
ロ)「出来るだろ?
与奪屋。…お前の能力なら。」
与奪屋…あぁ、私のことか。
私の能力は違う、与えることなんて出来ない。
取ることしか出来ない…!
口を開くことなく睨むように目を合わせる。
すると相手は静かに、口を歪めながら
ロ)「お前の、
__________________命と引き換えに。」
静かに、声を発した。