第2章 second

彼女の事が忘れられない繋心はそれから彼女を作ろうとしなかったし、今もまだ、忘れられずにいる。



電話番号もメールアドレスもそのまま。


過去に囚われたままあいつは動けていない。



だから俺は本気であの子と繋心が付き合ってくれたらって思ってる。



「なぁ繋心。あの子と試しに付き合ってみろよ。」


「あ？やだよンな事。」


「付き合ってみたら案外いい感じになるかもよ？」



少し考えるように目を細めた後ふーっ、とタバコの煙を吐いた。


「それで傷つくのは俺じゃなくてアイツだろ。」


「そんなの分かんないだろ。」


「うるせえな」


グチグチと言い合いをしているうちに坂ノ下に着いてしまって、繋心には逃げられてしまった。


「烏養も烏養だけど、お前もムキになりすぎじゃね？」


「分かってっけどなんかムカつくじゃんか。あんな女にまだ縛られてるなんて。」


繋心の傍にはあんなに想ってくれる子がいるのに。