第1章 第一章
暗闇の中、何か光るものがある――。
何・・・・・・?
星・・・・・・?
「気付きましたか!?」
誰かが私の顔を覗き込む。
水滴がポタポタと私の顔に落ちる。
あれ・・・・・・私・・・・・・生きてる・・・・・・?
「あなた・・・・・・誰?」
夜で顔がよく見えない。
「僕は通りすがりの流浪人です。酷く怪我してるので暫く動かないでいてください」
僕・・・・・・という事は・・・・・・男性か・・・・・・。
声が女性のように高い。
・・・・・・痛い。
体に激痛が走る。
「だから動かないでいてくださいって!」
男性が起き上がろうとした私を押さえつけて寝かす。
「困りました。この辺りの地理に明るくないので医者がどこに居るか解らないんですよね」
何言ってるのかしら・・・・・・病院なんて調べればすぐ解るでしょうに。
「私・・・・・・情けない・・・・・・」
涙が溢れてくる。
「なんか、今、死にたくないの・・・・・・」
体が怪我を負って痛みが全身を駆け巡っていきなり死ぬのが怖くなった。
「・・・・・・救いますよ、僕が。必ず」
手に温かい感触を感じた。
この人が手を握ってくれているようだ。
私は声を殺して号泣した。