第2章 恐れていたこと
翌日、着信音で目を覚ました。
スマホの画面を見ると黒川さんからの着信だった。
「はい…。」
「あれ?寝てた?」
「うん。」
「今から行くから。20分で着く。」
「へ?ああ…うん。わかった。」
電話を切り、急いで支度をした。
時計を見ると午前11時。
少し寝すぎてしまった。
20分後、いきなり部屋のドアが開いた。
黒川さんはチャイムも鳴らさずに部屋に入ってきた。
「おはよ。」
「おはよう。チャイムくらい鳴らしてよ。びっくりしたじゃん。」
「ああ、ごめんごめん。支度できた?」
「うん。」
「それじゃあ行こうか。」
黒川さんの車に乗り、彼の知り合いのお医者さんの病院へ向かった。
病院に着くまでの間、お腹の中の子どもに向かって何度も何度も謝った。
窓から外を眺める。
段々と見慣れない景色になってきた。
一体何処まで行くのだろう…。
黒川さんは古びた建物の前で車を停めた。
「着いたよ。」
その建物は、とても病院とは思えない程不気味な雰囲気を纏っていた。