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【赤髪の白雪姫】きみの瞳に恋をする

第3章 強盗とウェイター


トーマの身体がゆっくりと傾く。

「ははっ!この毒針を受けたな!ここらのヘビの一級品の毒だぜ!さっきの毒矢と合わせたら、いつ死んでもおかしくないはずだ!」

トーマに一撃を浴びせて興奮している少年の始末が先だ。
彼の腹に思い切りの一発の拳を打ち込むと、彼の身体が折れ曲がり、そのまま気を失って床へと倒れこんだ。

(嘘だろ。毒矢にやられてあれだけ立ち振る舞ってたのかよ。)


ゆらりと大きくトーマが倒れそうになったところを、寸でのところで受け止めた。

毒矢を受けながら大の男を軽々と倒し、そして、自分が店へとタイミング悪く入ってきたことで、あのひ弱そうな少年の一撃を受けたとなっては、気分がいいものではないし、むしろこっちの肝が縮むようだ。


「おい!大丈夫か!?」

バイオレットの瞳がうっすらとこちらへと向けられる。


『…一応、まだ、大丈夫。』


全然大丈夫そうな状態ではないが、まだ意識はあるらしい。
けれども、かなりの毒が盛られていて、おそらく一刻もはやく処置が必要だろう。でも、医者なんて知らないし、でもどうすればいいのか?と軽くパニックに陥っていると、

『ねぇ、猫みたいなお兄さん。厨房の横の小部屋に運んでもらえない?』

痺れて、右半身がもう動かないんだ。と苦しそうな笑みをうかべていた。

トーマを横抱きで抱えると、昼間も思ったが、やはり異常に華奢でとても軽い。そして、その身体を持ち上げたときに、三角巾が外れた。同時に、長髪のブロンドヘアーが重力に逆らえずに、ふわりと揺れた。
閉じられた瞳に影を落とす長いまつ毛、昼間よりもずっと白い透き通った肌に、血色を失いつつある少しふっくらとした唇。

ずっと感じていた違和感を確信する。

「はぁ。」

盛大なため息が出た。

「なんでこんなことしてんだよ。」
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