第6章 綾人について
また、兄を探さなければいけない。
僕は電車に乗る。
手足はくっつくけど、服はくっつかない。
着替えるしかなかった。
そして、電車を降りた。
兄はどこに行ったのだろう?
その前に服を買わないと…
「すいません、これ、落としました、、、よ?」
不意に声をかけられ、僕は振り返る。
僕の腕を持った彼女の顔は青ざめていくのがわかった。
「ありがとう」
とりあえず、そう返したが僕もさぁーっと血の気が引いていく。
笑顔で彼女を怖がらせないように…
「つけるのゆるかったみたい」
いやいや、僕は何を言ってるんだ。
吸血鬼ってことがばれてしまったではないか。
どうしよう。
でも彼女をどこかで見た気がする。