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僕の大型鰐

第2章 鰐の丸めかた


「………」
「………」
「………………」

返事がないので不思議に思ったシャルラが恐る恐る顔をあげると、ちょうどクロコダイルが右手に持っていた葉巻を指で真っ二つにへし折る所だった。
「…クロコダイルさーん?」
「待て黙れ3分待てしばらく何も喋るな…」
間延びした声でシャルラが声をかけると、クロコダイルは荒々しくテーブルに置いてあった砂時計をひっくり返した。サラサラと中の砂が音をたてて落ちていく。

相当混乱してんだなぁ…。

シャルラはクロコダイルを眺めて思う。そりゃそうだ。『突然自分の経営するカジノに、しばらく消息不明だった5億の首が現れて交際を申し込んでくる』なんて普通に生きてるやつは一生経験しない事だし、したとしても簡単に理解できるものではない。混乱しても仕方がないだろう。というか実際今自分でまとめてみてもよくわからなかった。

時折悔しそうに唸るさまは見ていて退屈しないので、クロコダイルの言った通り3分間だけ待っててやる事にした。


クロコダイルは考える。目の前にいるこいつは、一体誰だったか。緋色のシャルといえば、海に生きる者であればよほど若いか世間知らずでない限り知らぬ者はいない大海賊。懸賞金は5億ベリー、海軍はこいつを捕らえるのに躍起になっていた。しかし10年前、緋色のシャルは何の前触れもなく行方を眩ました。それから今まで10年間奴が何をしていたのかは全くわからないが、確かに今日、緋色のシャルは10年前の手配書と変わらぬ姿で自分のカジノに現れた。かなり堂々と、単独で。そこまではいい。自分に会うためというのも、納得しよう。
だがこいつは、何と言った?おれに交際を申し込んだように聞こえたが、おれの耳がおかしくなったのか?それともこいつがおかしいのか?5億を超える輩だ、常人と同じ思考回路なわけがない。…ということはやっぱり、緋色のシャルはおれに交際を申し込んだと。
…いや待て待て待てやはり理解できない……!
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