• テキストサイズ

【短編集】夢工房。

第4章 紫陽花(三井)



「なにがあったの?」
「あー・・・まあ、横浜駅の階段から転げ落ちて。脳震とうと肋骨骨折・・・みてーな?」
「どうして横浜駅なんかにいたの?! 今日は仕事でしょっ」
「ウルセーな・・・大きな声出すなよ。まだ頭がクラクラして吐きそうなんだからよ」
「あ・・・ごめん・・・」

確かに、ベッドのそばにはいつ吐いてもいいように洗面器が置いてある。
しかし、三井は笑顔でヨシノを手招きすると、ベッドの淵に座るようにポンポンと叩いた。


「なんか、スゲー会ってなかった気がする」


そばに座るヨシノの手を取り、匂いを嗅ぐ。
その仕草がすごく愛おしくて、額に巻かれている包帯をそっと撫でた。

「ンな顔するなよ。こんくらいのケガ、高校の頃は日常茶飯事だったからな」

「でも・・・どうして横浜駅にいたの? ケンカでもしたの?」

「・・・・・・・・・・・・」

三井は質問に答えることを迷っているようだった。
しかし、ここまで心配させてしまった以上、黙っているわけにはいかない。


「まー・・・大したことじゃねーし、お前には黙っておこーと思ったんだけど・・・」


そう言って、重い口を開いた。


/ 117ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp