第1章 おそ松Ver.
「…ぐすん、ひっく。」
涙が止まらない…。
「そんな泣くなって~」
おそ松くんは私の肩を抱き寄せた。
「だって…。うぅ、」
「…だって? なにがあったのさ~。俺にも言えないの?」
もう、どうして思い出させようとするのよ…!!
それでもおそ松くんは私の肩を抱き寄せる。
「うーん、あのさ!! 話してみたら案外楽だよ? 愚痴とかも吐き出すとスッキリするしね!!」
「…ぐすん。」
「もしかして、頼りにならないとか思ってる?
ちょっと、それはひどいよー?」
いつもの調子で笑ってる。
そりゃ、女の子にフラレっぱなしの童貞になんか…
けど、おそ松くんは話を続けた。
「あのさ? 俺にはさ○○よりもものすごぉく強者の弟が下に5人もいるの。 その子たちのお兄ちゃんだよ? 長男様だぞ? ○○を笑わせることなんて簡単なんだからね~?
だから、さ? 気持ちを落ち着かせよ? 俺に話してみて? 絶対気持ち楽になるからさ!!」
おそ松くんは笑った。
あの無邪気で少年のような笑顔で。
けれど昔とは少し違った。
お兄ちゃんの顔をしたおそ松くんだった。
「…で、でも。うっ、それ、じゃ、おそ松くんに迷惑じゃん…ひく」
「なぁに言ってんの? 俺達何年の付き合いだと思ってんのさ~(笑)
そんなこと気にしない!! てか迷惑なわけないじゃん!!
迷惑だって思ってたら今もこうして○○の隣にいないからね?」
お人好しめ、バカ松。
それを他の女の子にしたらモテるのに…
「じ、実はね…」
私は全部話した。
スッキリしたし、心も落ち着いた。
おそ松くんは真剣に聞いてくれた。
私もホッとした。
長男ってすごい。と確信した私だった。
私の肩を抱き寄せた、おそ松くんの手が少しだけ震えてたことは私だけの秘密。