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小狐丸と女審神者

第1章 小狐丸と女審神者


目を覚まして。

ふと聞こえたのは、まだ幼さの残る声だった。
最初はその声を無視していたが、その声は何度も聞こえてくる。

仕方がない…。

ふと目を開けた瞬間一人の少女と目が合う。

「…ぁ」

小さくそして短い声は何度も聞こえてきたあの声そのもの。

貴方が呼んでいたのか。

不思議なもので、その少女が審神者だとか自分のするべき事は全てかわっていた。

「ぬしさま」
「~~っ!!ご、ごめんなさい!」

バタバタと少女は小狐丸に90度に近いお辞儀をすると部屋を出ていく。

「…は?」

その少女の行動に小狐丸は首を傾げるしかない。

「は?ちょ、ぬしさま!?」

慌て追いかけた先には長身の男にしがみついている少女。

「お主は…」

一目で彼が自分と同じ“存在”だとわかると同時に、一瞬だがむっとする。
彼は「太郎太刀」と短く答えすぐに自分にしがみついている少女に目を向ける。

「主、彼が新しい?」

太郎太刀の言葉に少女はこくこく何度も頷く。

「そうですか・・・貴殿、名は?」
「・・・小狐丸」
「そうですか・・・改めて、私は太郎太刀、彼女は」
「審神者じゃろう?自分が人の姿を借りた理由も知っておる」
「・・・うむ。主、ご自分できちんと自己紹介されませんと」

そっと少女の肩に手を添える太郎太刀に少女はびくりと反応する。

「え、えっと、その、わ、私はこの本丸の審神者を任されてる者で、す!よ、よろしくお願いしま、す・・・」

目を伏せそのままの体勢で彼女は小さく自己紹介をする。

「ぬしさま・・・」
「・・・主は、少々人見知りでな、私も同じ反応だった。心配ない…時が経て慣れて下さる」
「む・・・そ、そうか・・・わかった、ぬしさま・・・この小狐丸、精一杯仕えまする故どうかよろしくお願いしまする」

そっと自分を見ていない少女の前に跪く。

小さく幼い人見知りの審神者に、精一杯の敬意を示すように。
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