第1章 はじめて(銀時 強引)
ぎゅっと、抱きしめられているから、表情はわからない。
「気持ち良すぎて、我慢できなくて、先にイっちまったから……」
え、どういうこと?
だから機嫌がわるくなっちゃったの?
わたしより先にイったから?
変な沈黙が続く。
銀さんは気持ちよかったって言ってくれた。わたしを嫌いになったわけではないみたいだし。なんだか、すごく眠たくなってきた。
抱いてくれている銀さんに、体重をあずけるように、よりかかる。眠い。このままだって、眠れそう。
力が抜けたことをわかってか、銀さんは、腕枕をするように、わたしを寝かせてくれた。腕というより、肩のところに、わたしはあたまをのっける。とっても居心地がいい。
そっと髪をなでてくれる、銀さん。
「ねえねえ、わたしのこと好き?」
「ああ? なに言ってんの、今さら」
だって、聞きたい。
今聞きたい。
なんだか、ちょっと不安なんだもん。
「好きだよ」
ボソっと漏れたその言葉を、わたしは聞き逃さなかった。
「ホントかな……」
普段なら信じて疑わない、その言葉。
でも、どうしてか、わたしもボソっと漏らしてしまった。
体をゆるしてしまってから、こんなもんかと、銀さんの態度がかわったらどうしよう。
なんだかすごく不安で、どうしようもなく不安で。
好きなのは、わたしだけだったらどうしようって、さみしくて、さみしくて、しょうがない。
「」
銀さんが呼んでくれた。
心地の良い声。
しっかりと、こっちを見て、言ってくれた。
「好きだよ。これからも、ずっとな」
「うん」
きゅんっと、一気にうれしくなった。今度は素直に頷けた。
きっとまたしばらく言ってくれないであろう言葉を、そのしばらくは信じていられそう。