• テキストサイズ

短編2

第1章 はじめて(銀時 強引)


 ぎゅっと、抱きしめられているから、表情はわからない。

「気持ち良すぎて、我慢できなくて、先にイっちまったから……」

 え、どういうこと?

 だから機嫌がわるくなっちゃったの?

 わたしより先にイったから?

 変な沈黙が続く。

 銀さんは気持ちよかったって言ってくれた。わたしを嫌いになったわけではないみたいだし。なんだか、すごく眠たくなってきた。

 抱いてくれている銀さんに、体重をあずけるように、よりかかる。眠い。このままだって、眠れそう。

 力が抜けたことをわかってか、銀さんは、腕枕をするように、わたしを寝かせてくれた。腕というより、肩のところに、わたしはあたまをのっける。とっても居心地がいい。

 そっと髪をなでてくれる、銀さん。

「ねえねえ、わたしのこと好き?」

「ああ? なに言ってんの、今さら」

 だって、聞きたい。

 今聞きたい。

 なんだか、ちょっと不安なんだもん。

「好きだよ」

 ボソっと漏れたその言葉を、わたしは聞き逃さなかった。

「ホントかな……」

 普段なら信じて疑わない、その言葉。

 でも、どうしてか、わたしもボソっと漏らしてしまった。

 体をゆるしてしまってから、こんなもんかと、銀さんの態度がかわったらどうしよう。

 なんだかすごく不安で、どうしようもなく不安で。

 好きなのは、わたしだけだったらどうしようって、さみしくて、さみしくて、しょうがない。

「」

 銀さんが呼んでくれた。

 心地の良い声。

 しっかりと、こっちを見て、言ってくれた。

「好きだよ。これからも、ずっとな」

「うん」

 きゅんっと、一気にうれしくなった。今度は素直に頷けた。

 きっとまたしばらく言ってくれないであろう言葉を、そのしばらくは信じていられそう。


/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp