第8章 〜奇蹟〜
水氷の龍と、桜の刃がぶつかり合う。
お互いに、この場所が崩壊しない様、霊圧を調整しながら、それでも手加減している様には見えない。
「だから!言ってんだろ?!彼奴の目を、見てられなかったんだよ!」
「それで、殺すかもしれないと怯えている彼奴に敢えて霊力を送ったか?理解出来ぬな」
白哉も、事情は既に察している。
冬獅郎がとった行動が、間違ってはいない事も。
しかし、お互いに抜き放った刀を納められる程、大人にも冷静にもなれなかった。
それは想いの強さ故。
されど、こんな諍いを本人が望まぬ事とて理解していて。
氷の龍が桜の刃を凍らせ、桜の刃が龍を砕く。
氷の壁が桜の刃を弾き、桜の盾が龍を退ける。
完全に拮抗している彼等の闘いは、終わる様子がまるでなかった。