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ラ・カンパネラ【PSYCHO-PASS】

第21章 裁きの門


――空虚を呼び起こして。




「おかえり、と云って君は笑った。ただいま、と云って僕も笑った。」







戦いは槙島の方が優勢だった。
蹴り飛ばされた慎也は床に転がった。

「思っていたより拍子抜けの結末だな。それでも久々に退屈を忘れた。感謝してるよ。」

槙島はそう言いながらナイフを取り出す。

「――やめてぇぇ!」

その瞬間、慎也の上に泉が覆い被さった。

「――泉?」

しばらく振りに感じた愛しい女の温もりに、慎也は柄にも無くホッとする。

「聖護さん、これ以上は私が許さないわ。」
「――泉。退くんだ。」

少しだけ苛立ったような槙島の声に、泉が一瞬怯む。
その瞬間、槙島の後ろから朱がヘルメットで殴りつけた。

「――狡噛さん!日向さん?!」

慎也の上にいた泉を見れば、朱が目を見開く。

「聖護さん!」
「監視官、殺せ!」

吹き飛ばされた槙島を助けに行こうとする泉の手を掴めば、慎也は唸るように言う。

「――ッッ?!」

その瞬間、朱の頭の中に様々な思いが駆け巡る。

「朱ちゃん!やめて、その人は――!」

泉が叫ぶ。
けれども慎也はその腕を放す事なく、泉の顎を引けば無理やり口付ける。

「慎、也――!ンン!何を――!」
「悪いな。少し眠ってろ。」
「朱、ちゃ――!」

意識を落として行く泉の悲痛な声に、朱は涙を堪える。

「――日向さんだって!あの時、私の言葉を聞いてくれなかったじゃない!」

脳裏に蘇るのは、ゆきが殺されたあの場面。

「ッッ――!槙島聖護!貴方を逮捕します!」

ヘルメットは投げ捨てられ、槙島の手には手錠が嵌められた。


















「――やってらんねぇよ、クソが。」

地下での出来事は誰も知らない。
チェ・グソンが撃たれたことも。

――撃ったのが局長だと言うことも。
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