第10章 華の行動
アーシャの翡翠色の瞳は光を失って宙を向いた。
それと同時に翡翠の血から何かが飛び出てきた。
人の形をした何か。
透き通ってはいるが、髪と瞳の色からリオ一族だと分かった。
_あーぁ、壊しちゃった_
「ッ…ジェイディア……」
_ねぇ、あんたも死んでよ_
「嫌よ」
_じゃあ殺してアゲル_
「無駄」
ラーラは翡翠の血の奇石を地面に向けた。
そして翡翠の血の化身、ジェイディアに視線を投げた。
_ダメ!!!_
「あなたも、不要。」
バリィン
翡翠の血も壊れた。
ラーラは奇石の砕けた双剣を手にした。
だが気づく。
自分を取り巻く海兵に。
銃口を全て向けられている。
「ここで、死ぬの?」
あと一歩だったのに、どうして・・・?
悔しいなぁ。
何もできなかったわけじゃなかったのに。
引き金に指が架かるのと同時に聞こえた声。
だがその声はラーラにだけ聞こえているようだった。
『stop』
海兵たちは停止した。
そして声の聞こえた場所を見つめる。
現れたのは、化身のように透き通った女の姿。
銀色の髪に、瑠璃の瞳をした、ラーラそっくりの女。
「私…ッ!?」
『私の名はエリズィエラ。』
「見えたぞ!!」
「戦っているな。」
サボはまだかと急かす。
心配だ。
ここでアーシャとかいう海兵に負けたら間違いなく殺される。
傍で守りたい。
『あら、愛しの彼登場ね。でも、私と話をしましょう。いらっしゃい。』
「はい、エリズィエラ様。」
ラーラは後ろをつけた。
サボが来ているのは知っている。
だが、優先すべきはこちらだと悟った。
___全て語られる真実と運命。