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炎の月に架かる虹【ONE PIECE】

第4章 華の言葉


「おっ。」
「あ、サボ君!!」


コアラがサボに向かって走った。
そしてサボの頬を思いっきり抓った。


「いででででっ!!」
「ちょっとぉ!ラーラちゃん困ってたわよ!?仕事も放棄して!!」
「わがっあかぁはあせ!!」(分かったから離せ!!)
「もう!」


コアラは手を離した。
サボは痛そうに手で頬を摩っている。
そしてラーラを見た。


「アハハ…くくくっ」
「笑ってるといいな。」
「でしょ!?」
「何かイメージが変わるから。」
「もっと笑ってよ!サボ君いっぱい抓るから!」
「は?え…ちょ……」


ラーラは笑っていた。
優しそうなラーラの目を見てサボは、警戒を解いてくれたんだなと思った。


「よかった。和んでくれて。」
「私だって気を張り詰めてたらストレスで倒れちゃうじゃない。」
「でもさっきまでとは全然違うからよ。」
「信用したげるわ。」
「最初っからしとけ!」
「無理よ。」


それでもサボへ向けられていた心を覗くような目は柔らかい視線に変わっていた。
琥珀色の瞳は優しく光っている。


「コアラ、次はどこ?」
「ごめん!私仕事の時間になっちゃったから。サボ君どうせ仕事しないからサボ君に残り案内してもらって!」
「分かった。頑張ってね。」


コアラは手を振って行ってしまった。
サボがラーラの隣に立った。


「どこ案内してもらったんだ?」
「私の部屋と医務室。」
「じゃあ食堂でも…」
「何食べるの?」
「へ?」
「顔に食べ物しか映ってないわよ。」


サボは血の気が引くのが分かった。
鋭い人間の観察力。
そして想像力。
サボが考えていたこと思っていたことを見抜かれたのだ。


「どうやった?」
「どう…って?」
「何で俺の気持ちが分かったんだ?」
「あなたが分かりやすいからよ。表情でなんとなく。」


にしてもそれにはそれ相応の能力がある。
サボは関心を示した。
ラーラに心を読まれないようにしようと気を張るしかないのだろうか。


「私は今のあなたは分からない。まず私は心なんか読めないわ。」
「表情で見抜けるって…」
「だからそれはあなたが分かりやすかったからよ。」


人の心なんて見たくもない。
ドス黒い感情が渦巻いてるだけだもの。
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