第9章 和婚式
腕枕でまどろむ、幸せな時間。
初めてちゃんと、
お互いの気持ちを打ち明けあった。
『俺、今までアキのこと、
大人ぶって何度も傷つけてきたよな、すまん。』
『ううん。
そのたびに、センセ…じゃなくて…
ハジメも同じくらい傷ついてたでしょ。
私がスキだって言うたびに
ハジメが苦しんでるってわかってた。
でも…』
『…でも?』
『私、初めて好きになった人に
その気持ちを伝えられなかったら
一生、後悔するって思って…
ハジメを苦しめてるってわかってたのにね。
自分勝手で、本当にごめんなさい。』
…もしかしたら、
俺のほうが臆病だったのかもしれないな。
『大人だから』って言い訳しながら
自分が傷つくことを避けてたんだ、きっと。
アキ。
お前の素直さ、真っ直ぐさに、
教えられることばっかりだよ。
『お前、俺の"先生"だな。』
『え?なんで?』
『…教えない。』
『えーっ、気になる!』
そのまま、抱き締める。
アキが、くすぐったそうに笑う。
あぁ…やっとつかまえた。
今日からは、
生徒でも教え子でもなく、
俺の"彼女"だ。