第9章 和婚式
大通りに出る。
バス停。
コンビニ。
公園。
本屋。
思い当たるところをいくつも探したけど、
いなかった。
…そうだよな。
ドラマじゃあるまいし。
バス停で見つけて抱きしめて…なんて
そんな劇的な展開、
現実にあるわけ、ない。
気がつけば、
結構な距離を走っていた。
失意のまま戻る道のりは
限りなく遠く感じる。
…俺、何やってんだ。
自分であれだけ拒んでおきながら
今さら我を忘れて探し回るなんて
大人のやることじゃねぇよな。
すっかり暗くなった街。
通りのショーウィンドウにうつる
自分の姿が情けない…