第9章 和婚式
気持ちが晴れない日が続く。
そんなある日、
仕事から帰ると
玄関ドアの取っ手に
小さな紙袋がかけてあった。
観光地の風景がプリントされた
クッキーが入っている。
メッセージも何もないけど…
早瀬に違いない。
振り返る。
振り返る。
振り返る。
…気がつけば、走り出していた。
もしかしたら、
まだその辺りにいるかもしれない。
いや、
多分、
いないだろうってことはわかってる。
でも、
でも、もしかしたら。
…いても、
どうしていいかわかんねぇけど…
とにかく、走り出さずにはいられなかった。