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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



彼女は駅前に立っていた。

拍子抜けするほど、すごく普通に。

別に、
寂しそうでも
泣いてるわけでもなく

手にぶら下げたコンビニの袋を
小さくゆらゆらと揺らしながら

空を見上げて、
まるで鼻唄でも歌ってるみたいに。

『…待たせたな。』

『いえ、むしろ早くてビックリです。
走ってきて下さったんですね…
急にごめんなさい。』

『いや、いいけど…どうした?』

のーんびりした顔で、
手にしたコンビニの袋を上げてみせて。

『日付がかわるまで、
飲みの相手、してもらえませんか?』

『いいけど…どこで?』

『そこのベンチとか。』

『構わねぇけど…どーせなら、うち、来るか?』

駅から歩いて10分の距離。

大将が、あの焼酎気に入って
自分用にも買ってたよ、とか

あの翌日から、トーコの旦那のこと
あんまり意識せずにいられるようになった、とか

そんな雑談をしながらのんびり歩いた。

1LDKの我が家。
急いで飛び出したから、
部屋の電気もテレビもつけっぱなし。

『…おじゃまします…』

恐る恐る、といった感じであがってきた彼女は、
部屋の様子から人がいると勘違いしたのか、
小さな声で俺に聞いた。

『カノジョとか、来てないですよね?』

『バーカ(笑)カノジョ来てたら
あんたをここに連れて来ねーわ。
ちなみに俺、今、正真正銘、フリーだし
単身赴任でもねぇから、安心しな(笑)』

彼女の過去を知ってるからこそ
俺の方から先に言う。
いらない気遣いや勘繰りはさせたくない。

『テキトーに座って。…何、買ってきたんだ?』

皿とかグラスとかいるものか?
と思って聞いたら、
彼女から質問で返される。

『黒尾さん、甘いもの、嫌いですか?』

『大好き、ってわけじゃねーけど、
嫌いじゃねぇよ?』

『よかった。』


コンビニの袋から、

ビール2本とスナック菓子が取り出され、
そして、最後におずおずと

透明のふたのプラスチックケースの中に
二つ、ちんまりと並んだ
いちごのショートケーキが出てきた。

ハッとする。

彼女のあの別れ話。
街角で男に置き去りにされ、
一人でうどんを食べて、
ビールとケーキを
コンビニで買って帰った…と言っていた、

あれは、

誕生日の出来事、だったよな?

『あんた、もしかして今日…』

『えへへ、レベル30です。』

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