第8章 再会
この廊下を曲がれば、現世へと続く扉があるという所で、春香は改めて深呼吸をした。
「…よし。」
気持ちを整えて、扉の前で待つ一期のところへ向かっていく。
「待たせてごめんね。一期。」
「主様。いえ、大丈夫です。…それよりも…あの…なんと言うか…」
一期が顔を赤くして、目をそらす。
春香は、首を傾げた。
「…どうしたの?」
「その、主様が改めて女の方なのだと思い…少し、その…目のやり場に困ってしまったのです…!」
あぁ、やっぱり一期は変わらない。
そう思いながら、なんとか笑顔で現世への扉を開く。
「そんな事言ってたら、現世に行けないよ?じゃあ、行こっか。」
「…はい!」
一期も、深呼吸をして、ついて行く。
現世の部屋へ入ると、寒く、窓のカーテンを開けてみると、雪が降っていた。
「雪、ですね。」
「そうだね。ちゃんと上着、着て行かないとね。」
そう言って、あの時に、一期に着せた上着を取り出す。
悩んだが、それを一期に渡した。
身なりを整え、玄関のドアを開ける。
道へ出ると、もう日が傾き始めている。
「暗くなる前に、帰りましょうか。」
そう一期に言われ、うんと頷いて買い物へと向かった。