• テキストサイズ

制服少女と赤瞳少年【HP】

第19章 嘘つきはだれ


少女は寮に帰る気分にもなれず、監督生に途中で遭遇したのをいいことに寮ではなく自室に帰ると言付け学内を歩いた。
まだ夜の始まりとは言え寒く冷たい風が少女の頬を撫でる。
しかし冷たさは先ほどとは比べられないほどで今の少女には凍てつく風さえも春を告げる優しい風のように感じる。

『こんな所に扉なんてあったっけ…?』

一階の突き当たり、適当に歩いてきたため場所はよくわからないが少なくとも初めてくる所のようだ。
当たりに耳をすませ誰もいないことを確認した少女は暗い廊下で扉を開いた。

ギィィィ……

錆び付いた音が廊下に響きわたる。
室内は暗い。今日は月夜のはずなのに。
少女がそう思い杖明かりを照らすと窓があるであろう場所には分厚いカーテンがかかっており、部屋の真ん中には大きな何かが黄ばんだシーツのようなものに覆われている。

引き返そう。少女は直感的にそう思った。
これは今の自分には良くない、これが何か私は知っている。
見てしまったら戻れなくなる。
そう、良心の声がするのに少女の体は少しずつその大きななにかに向かって歩んでいく。

脚はふるえ、シーツに伸ばす手も震えている。
少女はなぜ自分がコレに向かっているのかわからなかった。
否、分かろうとしなかった。
黄ばんだシーツを引っ張るとスルスルと落ちていく。
辺りに埃が舞い、軽く顔をしかめる。

再び大きな何かを見据えるとやはりそこには鏡があった。

予想したとおり〝みぞの鏡〟が待ち構えたように鎮座していた。
/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp