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制服少女と赤瞳少年【HP】

第16章 ささやいて


少年は図書室の静かなスペースで文字の羅列でページが黒く見える学術書を開きながら熟考していた。

掴めない、掴み所のいまいちよく分からない少女。
未来を知っていた上でそれをひた隠しにする少女。
そして時折向けられる謎の感情が乗った視線。
周りの女共が向ける煩い視線ではない。
悲しそうででも畏怖で怯えているのか揺らいでいて、それでもなお凛と筋が通っている気がしていて。

少女だけ特別扱いすぎるのも腑に落ちない。
あの勉強部屋という部屋は勝手にあの狸爺が作ったに違いない。
校長があそこまでやる理由が見当たらないし、優秀だからという理由なら自分にもあてはまるはずだ。

未来を知る少女。
あの変身術の教授を保護者に持つ少女。
少女は自分の計画には賛同してくれるだろうか?
元々この世界の人間ではないし純血の魔法使いではないであろう少女には、この考え自体が飲み込めないのではないだろうか。

しかし少年は少女を手放すというのはとても惜しいと思ったのだった。
少年はこの時、少女が他人の手に収まることを考えただけで苛立ち憎悪の感情で瞳が赤く紅くぎらついたのだがそれに気づくことはなかった。
どんな形であれ少年は少女が他人、ましては狸爺の手に落ちることが耐えられなかったのである。
しかし愛の知らない少年は嫉妬も知らぬわけで…


今年はアブラクサスが監督生になったからより動きやすくなった。
もう少し具体的になったらアブラクサスがオリオンの賛同も取れるだろうと言った。

もう少し、もう少し計画が進んだらヒカル、君にも教えてあげる。

そう少年は心の中で呟いて上機嫌で羽ペンを弄ぶのだった。
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