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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第63章 【烏と狐といろいろの話 その4】


そういう訳で宮侑は縁下美沙の要望に答えて、先程前方でひどく叫んでいた集団を追い越さないよう用心したり、彼らの目になるべく触れないようにお化け屋敷の中を進んでいた。
勤勉に働いているお化け屋敷スタッフ一同には申し訳がないことだが、お化けや仕掛けよりもスリルがあると思う。

少々残念なのは美沙が怖がって思わず侑にくっつく、的なイベントが発生しそうにないことである。
何せハンドルネームままコは映像や音響、屋敷内のレイアウト、演出などに興味津々、完全に面白がっている。
その義兄から繊細だと聞いていたし、実際そういう一面もあるとは思っていたがホラー系は平気なのだろうか。

「ままコちゃん、ほんまに平気なん。無理してへん。」

誘った手前念のため聞いてみたが、当のままコはキョトンとしている。

「立体音響がまだ馴染めへんのと、さっきの人らが気になる以外は別に。」
「ままコちゃんてホラーとか平気なタイプ。」

するとままコこと縁下美沙はええと、と一瞬間を作る。

「平気までいかんけど、作り物のお化けとか物語よりもっと怖いんがあるでしょ。」
「うーん、なんやろ。」

侑は割りとガチで考えるが、よくわからない。

「実在する人間が一番怖いと思うから。」

聞き慣れない、かなり標準語に近い抑揚で言われて侑はドキリとした。
いや、標準語自体は今までにもバレーの試合で聞き慣れている。
しかし、基本的にライブ配信でもバリバリの関西弁で話す美沙の口から言われると謎の圧力というか重みを感じた。

そういや初対面で関西人ちゃう奴の相手とか、ガチな時は共通語になるって飛雄くんが言うてたなあ、とふと思い出した。
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