第54章 【王者の恩返し】　その1

「それだったら俺も行くぞ。」

更に瀬見が言い出した。

「天童が何かやらかしかねねぇからな。」
「ちょっとセミセミ、信用なさすぎじゃネ。」
「まず信用してもらえるところから始めろそれからセミセミ言うな。」
「となると副主将として俺も行かないとな。」

大平も言うと他の白鳥沢勢も黙ってはいない。

「だったら俺もいきまっす。牛島さんを烏野ばっかの所に行かせられないですっ。」
「工、別に烏野はヤバい組織じゃないから。あ、俺も行きたいです、ままコさんとまま兄の観察に。」
「薬丸が牛島さんに何するかわからない気がしてきたから俺も行きます。」

いつもどおりかそれ以上のカオスである。
しかし牛島は動じない。

「かまわない。」

やはり了承した。

「が、お前達は奢らないぞ。もともとエンノシタ、の兄妹への報酬だ。」

烏野、白鳥沢両校はもちろんと快諾する。
一方、

「兄さん、もともとウシワカさんと私らとの約束の話やったやんな。」
「そうだな。」
「何で私ら途中から蚊帳の外状態でこないなってもたん。」
「大体天童さんのせいかな。」
「これは終わってから天童さんと勝負せなあかんやろか。」
「勝負出来る土俵がないだろ、お前ゲームだって苦手だし。キノコを収穫するとかのんびり素材集めてキノコの巣を作るとかくらいで。」
「解せへん。」
「行きたいって思ってた所に行けるのを楽しみにしとけばいいよ。」
「そないする。兄さんは。」
「俺はお前と一緒に行けるのを楽しみにしとくよ。」
「うん。」

縁下兄妹はカオスな現実を耐えるべく、2人で慰め合うのだった。


次章に続く