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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第54章 【王者の恩返し】 その1


「すげぇ、美沙ちゃんが白鳥沢引き寄せた上に兄貴の分までウシワカに奢らせようとしてる。」
「待てスガ、それ確実に違う。」

目をキラキラさせている菅原に東峰が突っ込む。

「清水先輩、私達何か夢でも見てるんでしょうか。」
「どうやら現実みたいよ、仁花ちゃん。」

マネージャー陣も流石に引いている。

「まったく、とんだシナリオ当ててくれたもんだよ。流石ままコさんクオリティ。」
「ツッキー、スマホゲームのガチャじゃないんだから。」
「影山、お前ウシワカにメシ奢ってもらうとか出来るか。」
「ふざけんな日向、ボゲ。てめぇの図々しさでも出来ない事が俺に出来るかっ。」
「ついでに悪口っ。」

1年達も騒ぎ出している。

「す、すみません」

流石にこれはいかんと思ったのか澤村が恐る恐る口を挟んだ。
一応相手は同学年なのに敬語になってしまったのは仕方があるまい。

「何だ。」

牛島はじろりと澤村を見るが、おそらく睨んだつもりはないだろう。

「その、本気で言っているのか。」
「当然だが。」
「あーその、他人の俺が言うのもアレなんだが、美沙さんは相当食べるぞ。」
「話には聞いている。だからこその店の選定だ。」
「にしたって、別に縁下も自分のを奢れと要求している訳じゃないし。」
「俺の意志だ、問題ない。」
「いやしかし」
「何を懸念しているのか知らないが、自分の懐具合は把握している。」
「まぁそうだろうけど唐突すぎやしないか。」
「そうなのか。」
「縁下が固まっちまってるし、美沙さんも突っ込めてないし。」
「理由が必要というならつけられる。先日妹に来てもらったのには兄の尽力もあった。その報酬とすれば妥当だろう。」
「ということらしいぞ、縁下、美沙さん。」

澤村は言って固まったままの力と美沙の肩をポンッと叩く。
固まっていた兄妹はここでハッとした。

「ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」

同時に頭を下げる様は義兄妹のはずなのにそっくりである。
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