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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第54章 【王者の恩返し】 その1


「ていうかさ、」

ここで月島が露骨に嫌な顔をして言った。

「早速やってくれたね、ままコさん。」

言われた美沙は、何がとは聞かない。

「今日はどこ。」

ため息まじりに尋ねる美沙に月島は嫌な顔を変えないまま言った。

「自分で見たら、アンタの身長で見れない高さでもなし。」
「月島語が過ぎるで。」
「その勝手な言語体系、定着させる気なの。」

文句の方は聞き流して、美沙は言われたとおりに自分の目で確かめてみた。
そして義兄と一緒にうっと唸った。

「白鳥沢。」

男子排球部全員にも緊張が走ったのは言うまでもない。
男子高校生のバレーボール、宮城県内最強の白鳥沢学園高校の面々が向こう側からやってきていた。

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白鳥沢学園高校のバレーボール部と言えばやはり全国レベルのエースであり主将の牛島若利の存在が大きい訳で、今回の遭遇においても彼は眉一つ動かさずにそれを醸し出していた。

「烏野か。」

重々しく言う牛島に、澤村以下烏野のメンバーは―もちろん美沙も含めて―挨拶をする。

「どうも、な、なんというか」

若干動揺しながら澤村が言う。無理もあるまい。

「奇遇だな。」
「ああ。」

当の牛島は淡々と返すが、他の白鳥沢メンバーはワクワクした様子で見てくる奴、何か言いたそうだがうまく言えないのか顔を赤くしている奴、冷めているが威圧的な視線を送っている奴、とりあえずおおー、といった様子で見守っている奴らと反応に妙なバリエーションがある。

「それに丁度良かった。」

付け加える牛島に澤村は首をかしげる。

「うちに何か用事があったのか。」
「チームへの用事はない。」

きっぱりはっきり返す牛島の目は烏野の中の約2名に向けられていた。

「エンノシタ、チカラ」

少したどたどしい調子でフルネームを呼ばれて、力はビクッとした。
義妹の美沙も目を丸くして義兄を見つめ、烏野のメンバーも何事だと警戒するような雰囲気を醸す。
逆に白鳥沢の方は2年の白布賢二郎が、何ビビってんだこいつら阿呆臭いという顔を隠そうとしない。気づいた3年の瀬見英太がこっそり、その顔ヤメロとたしなめている。
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