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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第52章 【Sorry for Dali その5】


「皆さん、何か待ってはる感じがしません。」

美沙が茂庭に言い、茂庭はそうだなと返事をしながら辺りを見回した。

「もしかしてこれかな。」

ふと茂庭が目を止めた先には看板があり、2人はそこに書かれた内容に目を通す。

「2時間ごとに音楽が流れて水の出方が変わる、なるほど。」
「もしかせんでも、もうちょいで時間ちゃいます。」

義母である縁下夫人に贈られた腕時計を見ながら美沙は言った。

「流石及川、よく知ってるな。」

茂庭は苦笑する。

「残念なイケメソ感もありますけど。」
「うん、それは言わないであげよう。」

この時茂庭は内心、お兄さんの残念なシスコンは棚に上げちゃうのかな、と思っていたがそれは飲み込んだという。
美沙がしょぼーんとなるのが予想された為だ。
代わりにこう言った。

「俺らも日陰に行こう。結構日が照ってる。」

そして美沙を連れながら茂庭はここでニッと笑う。

「美沙さんが日焼けしたら、俺縁下君に殺されるかもだし。」
「なんでやねんっ。」

美沙が声を上げた瞬間、後ろでバシュウッと大きな音が響き、直後に噴水の周囲で待ち構えていた人々がおおおお、と歓声を上げた。
茂庭の方を向いていた美沙がバッと振り返ると先程まで沈黙していた噴水から勢いよく水が噴き上がっている。
一旦噴き上がった水はそのまま溜まっている水面にバシャンと落ちてほんの少しだけ沈黙、しかし程なくさっきよりも強い勢いで噴き上がって同時に音楽が流れてきた。クラシックのようだ。

騒がしく茂庭に突っ込んでいた縁下美沙は美術館に居た時のように沈黙、他の観客が声を上げているのなどまったく聞こえていないかのように噴水を見つめて音楽に耳を傾けていた。
茂庭は微笑んでそんな美沙をちらっと見やり、自分も合わせて静かに観覧する。
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