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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第52章 【Sorry for Dali その5】


とりあえず無理やり食事を終えて店を出た美沙と茂庭は、及川に教えてもらった植物園とやらへ向かって歩いていた。

「縁下君が心配したとおりになっちゃったな。」

茂庭が言った。美沙はというと、ハアアとため息を吐いている。

「もう、毎回毎回何であないなるんやろ。ちゅうかあのお店に出入り禁止になってまいそうなんですけど。」
「ま、まぁまぁ、心配し過ぎは良くないよ。」

笑って言いながらも茂庭の額には汗が浮かんでいて、あり得ないとは言い切れないという様子である。

「あとは兄さんにバレんようにせんと。」
「黙ってりゃ大丈夫なんじゃ。」
「それがその、ふいになんもなかったか聞かれて動揺してバレてまうパターンが。」
「それは諦めよう。」
「なんでですのんっ。」
「美沙さんは良くも悪くも正直だからなぁ。」
「茂庭さんにまで言われてまうとは。」

美沙はぶつぶつ言い、茂庭は怒らない怒らないと笑いながら歩き続ける。

しばらくして、及川が言っていた植物園、みたいな公園が見えてきた。


日曜日なので人が多かったその公園は確かに植物園のようだった。
色々な種類の木やつる植物、花が所狭しと植えられている。
普段地元では見かけない花などを見つけては足を止める縁下美沙の様子は、美術展をしげしげと眺めていた時とよく似ていた、とは同行していた茂庭の言だ。

カップル、親子連れ、友達同士などなど多くの人が歩いている中、やがて美沙と茂庭は公園の真ん中に設置された噴水の前まで来た。

「これ、ですよね、」

美沙が呟く。

「及川さんが言うてはったん。」
「他に噴水はなさそうだからそうだろうな。」

茂庭が頷く。
及川がわざわざ教えたくらいだ、話題のスポットなのだろう。
公園自体に人が多い本日だが、この噴水の周りは特に集まっている様子だ。
噴水自体は現在沈黙していて、水が吹き出していない。
それなのに、近くに配置されているベンチはとっくに老夫婦やカップル、子連れで埋まっていて、そこに座れなかったと思われるその他大勢は植木の木陰に入ったり、あるいは日傘などをさして噴水の近くで立ち話をしていたりする。
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