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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第45章 【王者の命】その5


寒河江がここで日向を振り返り、日向は多分違うと言わんばかりに首を横に振る。

「自分で絵描くの。」
「うん。」

赤倉に聞かれた美沙はウエストポーチをゴソゴソして愛用のスマホを取り出した。
例によって利用している動画サービスのアプリを起動、一番新しく投稿した動画を再生する。

「これ。」

スマホを差し出された寒河江と赤倉は画面を見つめる。
ちょっと出力の弱いスマホのスピーカーからは電子音声で作られた歌声が響き、画面では美沙が描いた人物の漫画絵が上下左右に動いたり、点々になりながら消えたり、光ったりなど色々演出されながら登場していた。

「え、すっげえ、ちゃんと動画だ。」
「これ編集も自分でやったの。」
「やった。最初はやってなかったけど最近は絵コンテみたいなのから作ってやってる。」
「凝ってんなぁ。」
「牛島さんがこれ見てるのが意外。」
「五色君とか天童さんも見てくれてるみたいで。」
「ええええっ、マジかぁ。」
「すげぇだろ。」
「日向がドヤ顔してどないすんの。」

わいわい喋る連中、思い切り鷲匠や斉藤がいる側だったのだが練習試合の方は片付いていて後はDVD待ちの為か特にうるさいと怒られはしなかった。

「や、だって凄いじゃん。てか美沙、確か生放送みたいなのもしてなかったっけ。」
「え、顔出しっ。」
「何でやねんっ。」

勢い余った美沙、思わず寒河江に関西弁で平手突っ込みをしてしまった。
またやってもたっと気がついた時にはもう遅い、寒河江も赤倉も沈黙している。
日向は黙って様子を見ていたがあ、出た平手突っ込みと思っていたという。

「ええと」

またも漂う妙な空気に美沙はおずおずと口を開いた。

「ごめん、つい。」
「いや全然。」

寒河江が手をパタパタさせて言う。

「その、翔陽の時もそうだけどホントは関西弁なんだろ。」
「関西人のばあちゃんに育てられたからな。」
「え、親は。」

思わず聞いてきた赤倉に美沙は気を悪くせずに答えた。

「生まれた時にはもういなかった。で、高校上がるまでずっとばあちゃんが育ててくれてたけど高校上がってしばらくしてからばあちゃん亡くなって、でも親戚は誰も引き取れないってんで生きるか死ぬかのとこでお母さんのお友達だった縁下さんちに引き取られて烏野に来た。」
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