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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第44章 【王者の命】その4


私、美沙は一瞬思った。

こない物凄い人らにボケられるわ弄られるわの私って一体何なんやろ。

ボケているのは自分もだがそこは棚上げである。
更に試合は進む。カメラバッテリーの電力もまだ大して消費されていないうちに烏野は1セット取られていた。


一旦休憩である。

「美沙。」

撮った映像をざっくり確認していたら義兄の力がやってきた。

「兄さん。」

呟くと義兄は微笑む。

「ちゃんと撮れてるかい。」
「うん、やっぱりええカメラは凄い。全然ピントずれてへんし手ブレ補正効きまくってる。」
「そっか。」
「それにしても物凄いもんやねぇ。その、言いにくいけどあっという間にのされましたみたいな。」

言いにくいと言っておきながらはっきり言ってしまう義妹を咎めず力はそうだな、と頷いた。

「わかってたつもりだけどやっぱり伊達じゃない。正直おっかないな。」

ぼそりと呟く義兄に美沙は何と言ったものかはよくわからなかったが、鷲匠がこちらを見ていないのを確認してからそっと両手で義兄の手を包む。手がひょろひょろのために包みきれていないのはご愛嬌だ。

「兄さん、」

驚いたような顔をする義兄に美沙は言った。

「私はちゃんとこのお仕事やるから、兄さんらは試合の事考えとって。」

言いながら鷲匠に見つかるとまずい気がするとすぐに義兄の手を離す。

「ありがとう。」

義兄は言ってしかしここで苦笑した。

「ところでお前はいい加減今までどんな相手に喧嘩売ってたかわかったか。」
「喧嘩売ってへんもんっ。」

心外だと美沙は思う。自分の記憶違いでなければ大抵先に相手から喧嘩を売ってくる、あるいはそこまで行かなくても何かに巻き込んでくるパターンばかりのはずだ。
すると義兄はいけしゃあしゃあと、ああごめんと言う。

「喧嘩は売ってないよな、何も考えずにボケ倒すけど。」
「私よりウシワカ、いや牛島さんのボケるんと五色君がすぐに電脳言うてくるんと天童さんがやたら構ってくるんと白布さんが前の名前で呼んでくるんが問題な気もする。」
「それもわかるけど監督やコーチの人がいらっしゃる前で牛島さんに向かって天然呼ばわりする点は言い訳がきかないぞ。」
「う。」
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