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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第43章 【王者の命】その3


当然一同が反応しない訳がない。

「キターッ、ままコちゃぁぁぁん。」

天童がびょいんと飛び上がって手を振る。

「薬丸がほんとに来やがった。」

白布がちっと舌打ちをすると

「薬丸じゃないです、ええと」

五色が訂正しようとして失敗し、

「いやせめてお前は名前覚えてやれよ。」

山形に突っ込まれる。

「それを言ったらここに一番覚えてなきゃいけない人が。」
「おい、川西にまで言われてるぞ若利。」
「ままコだったか。」
「それはハンネだ、馬鹿っ。」

瀬見に平手突っ込みをされて首をかしげる牛島、一方烏野の方も戻って来た縁下兄妹に注目し、思わずわらわらと寄ってこようとするが烏養が片手で制止している。

「先生。」
「烏養君。」
「大丈夫か。」
「ご覧の通り。」
「ああ、そいつは良かった。斉藤先生もわざわざすみません。」
「いえ、もともとこちらが無理を言ってるんで。」

若手指導者同士少し言葉を交わした所で烏養は言って美沙をチロッと見る。
見られた美沙はビクッとした。自分の言動または起こってしまう騒動で度々烏養に怒られる為、完全に条件反射である。
ほんの少し黙っている烏養に美沙はまだ何もしていないはずなのに怒られるんやろかと不安に思った。

「縁下妹。」
「はいっ。」

不意に呼ばれて美沙はピシッと大げさなくらいに気をつけをする。
烏養はそんな美沙の反応には特に何も言わずに静かに言った。

「頼んだぞ。」
「はい。」

美沙が頷いた所で武田がさて、と呟く。

「鷲匠先生に挨拶しましょう。」

武田に促されて美沙は義兄と大人達と一緒に待っている鷲匠のもとへ行く。
鷲匠は立って選手達の様子を見ていたが、先に駆け寄った斉藤に声をかけられてぐりんとこちらを振り返る。

初めて見る白鳥沢の監督は聞いていたとおり厳格そうな、乱暴な言い方をすると典型的頑固じじぃといった雰囲気だった。
他界した祖母よりは幾分は若そうだし思うより小柄だが眼光鋭く、圧が凄い。ただでさえ人見知りの美沙は心臓がおかしくなる思いがした。
それでも武田に美沙さん、と促されて何とか口を開く。
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