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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第40章 【トラブルドゥトラベリング】その6


しばらくそんな不審者丸出しの真似を続けているうちに美沙と谷地がとある部屋の前で足を止め、宮兄弟はすぐに近くの曲がり角に隠れた。
互いに互いの口を手で塞いで息を殺している様は傍から見ればあれだが笑ってやってはいけない。
やがてドアが開け閉めされる音がして双子はにゅにゅっと曲がり角から這い出した。

「ここか。」

ヒソヒソと侑が言う。

「ここやな。」

治が頷いて2人は同時に同じ顔でニィッと笑う。普通の女子が見たら即恋に落ちるかもしれない。

そして治がそおっと腕を伸ばす。その先の手は拳を作っていて、明らかにノックをする準備だった。


信じられないくらいここまで何も気づかずに戻ってきた美沙と谷地は消灯時間までの間、同室の女子達とカードゲームを始めていた。

「よっしゃぁ、リッバース。」
「えええっ、また回って来ちゃったよー。」

ノリノリの美沙、慌てる谷地、そんな様にこれまた面白がる女子達、わいわい騒ぎながらやるカードゲームはなかなか楽しい。

「はいっ、スキップですっ。」
「ふぎゃああっ、出せるチャンスやったのにぃ。」
「えへへー。」

そんな風にしている時、コンコンとドアがノックされた。
美沙、谷地、女子達は途端に静かになる。

「何やろ。隣の部屋から苦情やろか。」

首を傾げる美沙に女子の一人がでも隣も大概騒いでると指摘した。確かに薄くもないがあまり厚くもないと思われる壁からは隣の部屋の女子達の笑い声が聞こえる。

「先生かな、私見てくる。」

言って谷地が立ち上がり、パタパタと行ってドアを開けた。
途端に聞こえたのはヒエエエエッという谷地の叫び声だ。

「ちょおっ、やっちゃんどないしたんっ。」

驚いて飛び上がった美沙にしかし谷地は叫んだ。

「美沙さんは来ちゃ駄目ええええっ。」

他の女子達も何事かと腰を上げて谷地に駆け寄ろうとする中、その声は響いた。

「ままコちゃーん。」
「こんばんはぁ。」

自分にとっては大変馴染みのある関西弁の抑揚、しかもよく似た野郎の声2人分、美沙は本当に足元がぐらつき正直そのまま気絶したい気分であった。
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