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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第36章 【トラブルドゥトラベリング】その2


美沙が普通やもんと呟き、日向があれが美沙が顔割れてるっていう関西の有名人かと1人感動してプルプルしている間にさっそくひどいことになった。

「おーいお前らーこっちこっちー。」

一体何を思ったのか宮侑は向こうにいた兄弟他仲間を呼ぶ。
呼ばれた稲荷崎の連中は一瞬嫌そうな雰囲気を醸し出してからぞろぞろとやってきた。

「何偉そうに人呼びつけてんねん、阿呆ツム。」

早速面倒臭そうに言う少年は宮治、恐らく髪を違う色に染めていなかったら侑と見分けがつかない。

「別に偉そうにしてへんわ、ボケサム。」

侑は遠慮なく言い返し治はカチンと来たようだがやめぇと他が押さえる。

「で、肝心の用は何なの。」

あわや双子が喧嘩になるかと思った所で角名倫太郎が早く済ましてくれないかなと言わんばかりに言った為侑の方がすぐに大人しくなった。

「見てみ見てみ。」

言って侑はとうとう月島、山口の後ろから美沙を引っ張り出す。
素早すぎて烏野勢は―谷地は仕方がないが―誰も動けなかった。
あとで月島が語った所によると青城の及川じゃあるまいし美沙に気安く触ってないので一瞬躊躇したのがまずかったという。
当然こうなった。

「ふぎゃああっ。」

義兄以外の慣れない奴に触れられた上に無理矢理引っ張り出された美沙は叫び、

「やややややばい美沙がさらわれるるるるる。」

怒った義兄を思い浮かべた為か日向も無茶苦茶を口走る。

「めっちゃ失礼やなっ。」

事情を知らない宮侑は声を上げるが相方の治がそらしゃあないでと呟いた。

「お前みたいな性悪に無理矢理引きずられたらそら誘拐と勘違いするわ。」
「さっきからお前何やねんっ。」
「事実言うてるだけや。」
「後で覚えとけや。それよりっ」

すぐにルンルンとした調子に切り替わって侑は引っ張り出してきた美沙の両肩を叩いた。
当人は加減したつもりだろうが美沙からすると結構な衝撃で飛び上がりそうになる。

「ほら、生のままコちゃんやでー。」
「生(なま)生(なま)て人をチョコかクリームみたいに言いよってからに。」

美沙はこの人は何を阿呆なと思いつつブツブツ言っていたのだが存外、稲荷崎の連中が注目してきたので内心大変焦った。
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