第33章 【強引g his way】その4

「烏養君が美沙叩いたら大事(おおごと)だよ。」
「ものの例えだ俺だって触りたかねぇわ、縁下お前もだネタに乗っかってガードすんな。」
「すみません、つい。」
「妹の影響か。」
「どうでしょう。」
「縁下がとぼけてるぞ。」
「流石2年の首領(ドン)だな。」

嶋田と滝ノ上が好き勝手コメントしていると白鳥沢の方からズンズンとでかい姿が2人連れ添ってやってくる。
何と、牛島と五色である。

「お話中失礼します。」

下手な大人より丁寧に言う牛島に烏養以下大人の方がかしこまってしまった。牛島は余裕があるのかそれとも何も考えていないのか早速ですがと続ける。

「こちらの選手がご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
「すみませんでしたっ。」
「あ、いやこちらこそ。」

コーチが動揺してどうするという話だが県内最強チームのでかい野郎共に同時に頭を下げられたのだ、烏養からしたら仕方ないかもしれない。

「うちも妹がすみません。」

そこへさささと力が美沙を連れてくる。

「お騒がせしました。」
「いや、まさかセクハラ発言に及ぶとは思わなかったからな。」
「マジですみません。」

謝りながらううと唸る五色に対し、

「私もほんまごめん。」

美沙がヒョロヒョロの手を伸ばして言う。五色は首をかしげるが

「かがんでやってくれないか。」

力に言われてかがむと美沙は五色の頭をなでなでした。五色はギョッとしチラっと美沙の義兄に目をやるがその義兄は微笑むのみである。
もちろんなかなかない光景に烏野・白鳥沢両方が注目した。笑ってる奴ももちろんいて天童はまた腹を抱えてアヒャヒャヒャヒャと笑っているし、菅原はブブブと堪えきれていない様子だ。

「何ですあれは。」

白布が呟き、瀬見も頷く。