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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第15章 【どうしてこうなった】前編


「烏養さんはもう諦めてると思う。」
「成田、ちょっと待て。」
「徹底して美沙さんが絡んだ時だけ不思議ちゃんだもんなー。」
「木下、お前もか。」
「あんだけ妹連れ込んだりしてりゃ無理もねえって。完全にセットって思われてるだろ。」
「俺と美沙は贈答用の食器か。」
「突っ込み方も完全に美沙さんみたいになってるし。」
「怒るぞ。」

まったくと力はため息をつく。どの道こっちから青葉城西を訪れる形になるのだ間違っても今回は義妹の美沙を連れて行く事にはなるまい。そう思って力は着替えにかかった。


「へー、ほな及川さんらとやりあうんやね。」

帰り道、力の義妹である美沙が言う。パソコン部である彼女が普通に男子排球部のメンバーの中に混じっているのも妙な話だが嫌がらせで階段から落とされた事件があって以降異常に心配した力が週のほとんどを一緒に帰らせているのだ。(最終的に相手と美沙が和解しているにも関わらず)帰らない日はわざわざ美沙がスマホのサイコロアプリで決めているというのだから相当である。

「そういう事になるな。」

力は義妹に答えて微笑む。

「ほんであの辺の人らがやかましいんかな。」

義妹がちらりと目をやる先では田中、西谷、1年の日向翔陽がやはり叫んでいて主将の澤村大地に怒られていた。

「影山は何かえらい雰囲気が怖いし。」
「及川さんは中学の先輩だし影山にとっちゃ一番越えたい相手だから思うトコがあるんじゃないか。練習試合つってもね。」
「そうなんや。」

呟く美沙は細かい事情をほぼ知らない。当人が人の事に干渉するのを嫌う性質な上に力もいちいち伝えていなかった。それきり美沙は黙ってしまう。

「何でお前が深刻な顔してるんだよ。」

考え込んだような顔で俯く義妹の頭にそっと手をおいて力は苦笑した。

「何とのう(何となく)皆がそんな感じやったから。」
「考え過ぎ。別にお前が行く訳じゃなし。」
「そらそうやけど。」

ここでまた力はあ、そっかという声を聞くことになる。

「美沙は来ないんだよな。」

日向である。

「当たり前。」

力が何か言うより早く月島蛍が安定の皮肉っぽさで突っ込む。
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