第1章 平穏だった日々
今日、私を今まで育ててくれたおばあちゃんが死んだ。
私の両親は12年前交通事故で死んでから、
お父さんの方のおばあちゃんと一緒に暮らしてた。
今まで私を一生懸命育ててくれた、私の大切な人だった。
おばあちゃんが死んだってお医者さんに聞かされたときは、頭の中が混乱して訳が分からなくなって、おばあちゃんの死に顔を見たらいっきに涙があふれてきた。
「・・・おばあちゃん・・・」
火葬される前、おばあちゃんはとても安らかな顔をしていた
から、苦しい思いをしないで逝けたのかな、と思った。
そして、おばあちゃんの葬式が終わった後、残っている問題があった。それは、学校の事だった。おばあちゃんが死んで、
引き取ってくれるといった親戚の人もいたけど、私が居ても迷惑になるだけだ、と言って、断った。
学費とか、今までおばあちゃんに払ってもらっていたし、
バイトをしても、すぐには貯まらないだろうし、
貯金などを使ったとしても生活していく分のお金が無くなったら困るから、あまり使えない。
親戚の人にも迷惑はかけられない。
「高校は・・・中退・・・かな・・・」
そんな事を思った。別に大学や専門学校に行きたい、とそれほど思わないし、生活も貯金でどうにかなるし、そこまで収入がなくても、雇ってくれるところもあるだろう、と、単純な考えを出した。
学校に明日行ったら退学届を出して友達ともお別れをしよう
それから――― 悠希にも。悠希は、一歳年下の後輩で、部活で知り合って、気が合い仲良くなった時、あっちから告白してきて、私も何となく気になってたから付き合った。
でも、高校を辞めたら、会う時間もほとんど無いし、悠希も他に好きな人とかができるかもしれないし、悲しいけど・・・別れよう。
そう思ったことが、これから続く長い長い悪夢につながる事を、この時の私はまだ知らなかった―――