第11章 缶ビール
「もー、酔っ払いたかったのにぃ。」
香坂はふて腐れつつも缶を開けた。
未成年で酔っ払いたかったとかどういう神経してんだよ。
俺は香坂に呆れながら床に置いといたビールを掴み一口飲んだ。
……味が違う。
パッケージを見るとさっき香坂に渡したノンアルコールビールだった。
「お前いつの間に!」
「気付かないほうが悪いの!」
ビールを持ちニヤッと笑う香坂。
「返せ!!」
香坂は俺の言うことを聞かず
飲んでいたビールを一気に飲み干してしまった。
おい、半分は入ってたぞ。
「……飲んだんならもう戻れよー。」
俺は無くなったつまみの袋を片しながら
香坂を追い返そうとした。
「………………。」
返事をしない香坂を見ると
2本目に手を出していた。
「お前!飲むなって言っただろうが!」
俺は香坂の飲んでいたビール缶を取り上げた。
取り上げた頃には既に遅く殆ど入ってない状態だった。
1本半以上もイッキ飲みしやがって……。
俺は香坂に酒を飲ましてしまったことで頭を抱えた。
「ねぇ~烏養さん?私って魅力ないですか?」
「はぁ?」
突然突拍子もない事を言う香坂に俺は聞き返してしまった。
「だからぁ。私って魅力ないれすか?
この間ぁ私~彼氏にぃ振られちゃったんれす。お前よりも好きな女がれきたって言われちゃったんでしゅよ~。」
……コイツ呂律回ってねぇ。
完全に酔っ払ってるじゃねぇか!
「お前もう部屋に戻って寝ろ!」
「まだしちゅもんの答え貰ってましぇ~ん。」
「はぁ……お前は魅力ある!可愛いからもっと自信持て!ほらっ、立て!部屋まで連れててってやるから!」
「……嫌れす。部屋にもろっても一人だから寂しいんれす~。烏養しゃん慰めてくだしゃい!」
「うおっ!」
香坂が急に抱きついてきやがった。
「おいコラ、離れろ!俺じゃなく他の奴に慰めて貰え!」
「…………。」
香坂に言うが何も反応しない、
その代わりスースーと寝息が聞こえた。
コイツ寝やがった!
香坂に抱きつかれたまま俺はまた頭を抱えた。