第18章 白雪
またもどうしてこうなった。
普通に歩いているはずだった。
普通に帰っているはずだった。
今私の真横にはあのスクリーンに出ていた少年。
正面には草薙出雲。
後ろには、八田美咲。
ことの発端は、近道をしようと裏道を通ったことだった。
後ろからバタバタと走ってきたのは白い少年。なぜか彼に手を引かれて走り出し、真後ろには美咲。なぜ私は走っているのかと考えている間に目の前には草薙出雲。
吠舞羅の人達には合わせる顔が無いと思っていた矢先のことで、とても困っている。
しかも、この状況では白い少年の仲間と思われてもおかしくない。
とりあえず顔だけは見せないように隠す。
草薙「・・・その女も仲間かぃな。仲間が多いな?」
これは仲間じゃないと言っても信じてもらえないな。と早々に判断してしまうと、怜は白い少年に乗っていた猫を抱えると白い少年の服を掴む。
「えっ!?」
怜「捕まって。じゃなきゃ死ぬわよ。」
白い少年が慌てて怜の腕にしがみつく。
それを確認すると、タンッと飛び上がった。
美咲「なっ!?」
草薙「チッ。」
怜は看板などを利用してどんどん上へと上がっていく。
草薙は舌打ちを1つすると、力を使って落とそうとしてくる。
怜はそれを軽々と避け、建物の屋上に辿り着く。
「た、助かった・・・!!」
怜「ねぇ・・・私巻き込まれたんだけどどうしてくれるの?ねぇ?」
しかし落ち着いて考えてみれば、今の自分は地毛を帽子に全て入れて茶色いカツラをかぶっているので、私本人だとは特定されないと気付いて少しだけ安堵した。
「ご、ごめんなさい!目の前にいて、後ろには危ない人がいたからつい一緒に・・・。」
怜「・・・名前は。」
「へ?」
怜「名前。」
社「あ、僕の名前は伊佐那社。皆にはシロって呼ばれてるんだ。君は?」
怜「伊佐那 社・・・。覚えた。じゃあね。」
怜は他のビルに飛び移って離れていってしまった。
社「・・・結局名前教えてもらえなかったや。」
伊佐那 社。少し調べてみるか。